チェコのクリスマスの過ごし方 その2
前回、「チェコのクリスマスの過ごし方 その1」をご紹介しましたが、チェコのクリスマス当日はまだ他にもチェコならではの習慣があります。
今回はその1でご紹介しきれなかったチェコの習慣や過ごし方をご紹介していきます。
【占いをする】
デイナー後にチェコならではの面白いクリスマスの習慣をする家庭もあります。
その習慣とは「占い」。
よく知られる占いは2つあります。
<リンゴの占い>
リンゴを横に切って、種を見て占う方法。星の形をしていると、翌年は同席している全員が健康に過ごせる。ただし十字架の形だと、同席している誰かが病気になったり死が訪れるから気を付けようと言われています。
<クルミの占い>
クルミの殻の半分に小さなキャンドルを乗せて「クルミの船」を作り、大きなボウルや鍋などに水を張り、そこに浮かべる。
手を放して、クルミの船が遠くに行くと来年は旅に出かけるなどの意味があり、複数のクルミの船が群れたら、来年も一緒にいるという意味があると言われています。
【プレゼントをくれるのはイェジーシェク】
デイナー後に占いなどのクリスマスの習慣などを終えた後にベルが鳴ります。ベルが鳴るとクリスマスプレゼントを交換する時間の始まりです。プレゼントを開ける際にはクリスマスキャロルを歌う家庭も多いようです。
日本なら、クリスマスプレゼントをくれるのはサンタクロースですよね。でもチェコではイェジーシェク(Ježíšek)と言う「赤ん坊のイエス」がプレゼントをくれます。小さな子供がいる家では、子供に気付かれないようにクリスマスツリーの下にプレゼントを置き、「イェジーシェクがプレゼントを持ってきてくれた」という前提でプレゼントを交換します。イェジーシェクは大人にも子供にもプレゼントをくれるので、みんな口々にイェジーシェクに「ありがとう!」と言います。ただ、イェジーシェクは描かれることがないので、どのような姿をしているのかは誰も知らないんだとか。それぞれがイメージするイェジーシェクは異なるようです。なんだか不思議な感じですね。
【クリスマスプレゼントのこぼれ話】
チェコではクリスマスプレゼントは家族みんなで交換しあいます。実際にはイェジーシェクがプレゼントを持ってきてくれたという前提ですけどね。毎年家族とプレゼント交換をし合い、何個も贈るので正直なところネタも尽きてきます。
クリスマスが近づくとよく見かけるのはビールとグラスのセットや(さすがチェコ!種類も豊富です)シャンプーなどの詰め合わせ、ハーブティのセットなど消耗品もありますが、本などもプレゼントによく選ばれます。
また、日本と同様に子供にはおもちゃを贈ったりします。大人向けには少し奮発してコーヒーメーカーやお菓子やパンの生地をこねる機械など家庭によっても様々で、クリスマスの出費はとても多い傾向にあります。
また、買ったプレゼントは日本のようにお店ではラッピングはしてもらえません。高級店などではしてくれる場所もあるかと思いますが、クリスマスプレゼントは基本的には自分でラッピングします。そのため、11月に入るとスーパーにもラッピングペーパーがたくさん並びます。日本はプレゼントとして買うとお店でラッピングしてもらうのが一般的ですがチェコでは自分でラッピングするというのも文化の違いですね。
【ポハートカを見る】
デイナー後に占いやプレゼント交換が終わったら、チェコ人たちはポハートカ(pohádka)と言うおとぎ話、童話の実写版のテレビや映画を見ます。クリスマスの夜にはポハートカが放映され、子供も大人もみんなで見ます。お姫様や王子様が出てきたり、魔女や魔法使いが出てくるファンタジー童話とでもいいましょうか。例えばドイツのグリム童話の「シンデレラ」、「ヘンゼルとグレーテル」、「白雪姫」などのような童話と言うとわかりやすいかもしれませんね。そのような童話がチェコにも多くあり、クリスマス期間にはよく放送されています。日本だと子供向けのような気がしますが、チェコでは大人もみんな見ます。その光景に最初の頃は驚いたものですが、今ではすっかり慣れ、私もポハートカを楽しむようになりました。クリスマスマーケットにはポハートカの世界を再現したような飾りなどが登場することもあります。
チェコには古城がたくさんあるのですが、ポハートカはそれらの古城を使って撮影されていたりします。古城観光に行って、城内ツアーに参加したりするとガイドさんが「このお城はポハートカの〇〇〇の撮影に使われていましたよ」などと教えてくれることも多くあります。
チェコ人はポハートカが本当に大好きです。
【無宗教な人が多いチェコ】
チェコ人は無宗教な人がほとんどで、8割が無宗教と言われています。ただ、この日だけはミサに参加する人もいるそう。近所の教会に深夜のミサを聴きに行く人もいます。街の教会によっても開始時間などは異なりますが基本的には0時開始。(22時くらいからスタートする教会もあります)
キリスト教の国ではよく知られる「ベツレヘム(Betlém)」。クリスマス定番の飾りで、クリスマスマーケットなどにも登場します。キリスト生誕の様子などの彫刻やオブジェが飾られますが、馬小屋にいる馬などの動物や赤ん坊のキリスト、マリアとヤコブなどが飾られます。無宗教な人が多いチェコですが、ベツレヘムの飾りはこの時期は色んな場所でよく見かけるものの1つです。
【25日と26日も祝日】
チェコではクリスマス・イヴの24日にクリスマスを祝いますが、25日、26日もクリスマスの祝日です。この2日間は特別なイベントはありませんが、家族と過ごしたりゆっくりと過ごします。スーパーやレストランなども観光地を除いてはほとんど閉まっています。
クリスマスは1年の中でもとても大切な日です。この日は家族や大切な人とゆっくりと過ごすための日と言っても過言ではありません。素敵なクリスマスをお過ごしください!
Veselé
Vánoce!