チェコのクリスマスの過ごし方 その1

2020年12月06日

チェコのクリスマスは24日のクリスマス・イヴ「Štědrý den(シュチェドリー・デン)」に祝います。日本のクリスマスと過ごし方は違い、チェコのクリスマス少し独特かもしれません。
今回はチェコのクリスマス当日の過ごし方について紹介していきます。

【当日の朝クリスマスツリーの飾り付け】

チェコではクリスマスツリーは生の木を使う家庭が多いのですが、室内に早い段階で入れてしまうと乾燥して葉が落ちたり木が枯れてしまう可能性もあることからツリーを室内に入れるのは当日の午前中が多いようです。
クリスマスの24日当日にクリスマスツリーの飾り付けをしますが、せっかくだから早くから楽しみたいという家庭もあり、22日~23日の早い段階で室内に入れて飾る家もあります。

【朝から断食すると金の豚が現れる】

チェコのクリスマス・イヴの伝統的な過ごし方は、朝から夕方まで断食すること。夕食まで断食をすると「金の豚(zlaté prasátko)」が現れるそう。この金の豚は「幸運の印」と言われています。
ただし、クリスマスのクッキーがたくさん並んでいるし、実際のところ断食は難しいのが現状ですね...

【メインデイッシュは鯉とポテトサラダ】

夜は伝統的なクリスマスの料理「鯉のフライ」と「ポテトサラダ」を食べる習慣があります。日本ではチキンを食べる家庭が多いですが、チェコでは鯉なんです。
チェコではクリスマス前になると街角に鯉を売る屋台が出現します。
生きたまま売られていて、クリスマスまでの間はバスタブなどで泳がせておきます。海がないチェコでは日本と違い、魚を食べることがとても少ないので自ら捌くのはちょっと無理・・・と言う方も、もちろん多くいます。そのため、その場で捌いてもらったりも可能ですし、スーパーでもすでにカットされた鯉も売られます。

クリスマスに食べる鯉の多くは南ボヘミアにあるTřeboňという街で養殖されたものが運ばれます。夕食のテーブルに並ぶメインは鯉のスープからスタートし、鯉のフライとポテトサラダが並びます。鯉のスープは鯉のあらを使っており、卵、内臓などが入っており身は鯉のフライになります。鯉のスープは結構日本人の口にも合う気がします。
日本では鯉は泥臭いとかのイメージがあり、抵抗がある方がいるかもしれませんが、しっかりと泥抜きされた鯉は意外にも美味しいですよ。

ただし、やはり鯉が苦手という人もいるし、骨を取ることを面倒に思う人もいます。私は義実家で毎年クリスマスを過ごしますが、義母は鯉のフライ以外にフライドチキンも用意してくれています。そしてポテサラ。ジャガイモを多く食べるチェコではポテサラも愛されており、クリスマス・イヴにも必ず登場する料理です。
ポテサラにはきゅうりのピクルス、ピクルスの汁、マスタードなどが入っており、さっぱりした風味で、日本人の口にもよく合います。先ほど夕食までは断食すると書きましたが、キリスト教には夜まで肉を食べない断食という習慣があるそうで、チェコでは厳格に守り夕食までは断食する家庭もありますが、実際はそうでない家庭もあります。そのため、肉が入っていない料理「クバ」をランチ(または夕食)に食べる家庭もあります。クバはキノコ、大麦をベースとしたチェコの伝統料理の1つです。

【金運アップ?鯉のウロコ】

鯉をクリスマスに食べるチェコでは、皿の下に鯉のウロコを置くという習慣があります。我が家は直接手渡しなんですが、この鯉のウロコをお財布に入れておくと、1年間お金に困ることがない」と言われています。
日本の「蛇の抜け殻を財布に入れると金運が上がる」となんとなく似ている気がしますね。

【クリスマスのクッキーとヴァーノチュカ】

前回の記事でクリスマスのクッキーについて少し触れましたが、テーブルの上にはクッキーがたくさん並びます。また、クッキー以外にも「ヴァーノチュカ(Vánočka)」と呼ばれる9本を編み込んで作るパンを食べます。
このヴァーノチュカは市販品もありますが、多くの家庭では手作りします。このパンは生まれたばかりのイエス・キリストがお包みにくるまれた姿と言われています。9本を編み込んでいくのですが、それぞれ1本ずつ意味があります。
一番下の土台は「水、空気、太陽、大地」を意味し、中央の段は「希望、理性、感性」、そして一番上にくる2本は「愛情、知恵」を意味しています。
ヴァーノチュカはレーズンがたっぷり入ったパンで、豊作の願いも込められているんだそう。

今回はクリスマスの過ごし方その1を紹介しましたが、次回はその2をご紹介します。
チェコはクリスマスの12月24日~26日までは祝日です。
クリスマスの夜は家族でゆっくりと過ごす習慣があるので、24日は午前中だけ営業している店もありますが、午後からはクローズする店がほとんどです。観光地などのレストランなどは営業している店もありますが、クリスマスメニューで事前予約が必要な場合も多いので、クリスマス時期に旅行を計画している方は事前に確認しておくのがおススメです。